涙は零れない
「なんで泣いてなかったん?」
と訊かれたあの日
母の葬式後の昼下がり
私は瞳を伏せた
泣きたかったのに
泣けなくて
冷静な自分がそこにいた
泣き崩れる父を見おろしていた
「冷たい子ね」
とみんなは言うけれど
私のこころ
何も感じない
ただ足の痺れ
気になるだけ
同情の声
愛想笑いする
親戚の目
視線を反らす
空に立ち上る煙
風に流され何処に逝くのか
その夜、空で眠った私
背中を風が吹き抜けていく
「あっ・・・」
瞳から涙が零れた
◎
高校生の頃に書き綴った詩です。
小学4年生の時に母を亡くしてから、
5年ほど経って。
ようやく、母の死と、
その時の自分と向き合えた気がします。
だからこそ、書けた詩です。
◎
生きていると、
かなしいことやつらいことがあります。
その出来事に直面している時も、
かなしくて、つらい。
生きていくために、
かなしみやつらさを抱えた自分に気づかないふりをして・・・
でも、ある瞬間に、
そんな自分が語りかけてくることがあります。
そんな自分と向き合うことは、
かなしくて、つらいけれど。
きっと、それは乗り越えられるタイミングに
語りかけてきてくれているのだと思うのです。
そんなことを、
友人の大切な話を聞いて、改めて。
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